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「強すぎるアイテム」はどう調整する?名作から学んだゲーム作りの奥義

『CYBER GOMOKU』には、普通の五目並べにはない3つの強力なサイバーアイテムがあります。開発初期はどれも強すぎたり弱すぎたりして、五目並べ本来の読み合いを壊していました。

調整の軸にしたのは「強い効果には、それに見合う危険や機会費用を持たせる」というリスクとリターンの考え方です。単純に威力を下げるのではなく、使う場面を判断する余地が生まれるように設計しました。

名作ゲームから借りた2つの考え方

この方針は、長く遊ばれているゲームから学んだものです。特に参考にしたのは次の2つの考え方でした。

  • 逆転要素は「劣勢側ほど活きる」形にする:パーティーゲームの逆転アイテムの多くは、勝っているプレイヤーが使っても効果が薄く、負けているプレイヤーが使うと大きく働くよう設計されています。サイバー五目の爆弾も、盤面をリードしている側が使うより、追い詰められた側が使うほうが価値が出る「防御的リセット」として設計しました。
  • 強力な効果には「コスト」を払わせる:カードゲームでは、強いカードほど大きなコストが必要で、コストを支払うこと自体が戦略になります。サイバー五目では通貨の代わりに、「1手を消費する」「使用回数が2回まで」「相手に情報を与える」という3種類のコストを能力ごとに割り当てています。

ジャンルの違う名作から仕組みだけを抽出して、自分のゲームのルールに翻訳する。これが個人開発でバランス調整をする際の、最も確実な近道だと考えています。

ステルス碁石、碁石爆弾、碁石レーダーから能力を選ぶ画面
対局前に選択する3つの能力。効果だけでなく、それぞれ異なるリスクを設定しています。

ステルス碁石:攻撃に強い代わりに防御できない

ステルス碁石は、相手から見えない状態で石を置ける攻撃用アイテムです。気づかれないまま5つ並べられる可能性がある一方、見えない石では相手の並びを止められません。

さらに、相手が同じマスへ通常の石を置こうとするとステルス碁石は消滅します。消滅した側は貴重な1手と使用回数を失うため、安全な必勝手ではなく、相手の次の手を読む必要がある選択になります。

碁石爆弾:盤面を変えられる代わりに自分も巻き込む

碁石爆弾は、相手が指定マスを踏むと周囲の石をまとめて消すトラップです。相手の完成間近の並びを崩せますが、爆発範囲にある自分の石も消えます。

爆弾を設置する行動にも1ターンを使います。相手が攻めている最中に石を置かず、発動するか分からない罠へ1手を投資すること自体がリスクです。強力な効果と、設置時の遅れや自爆の可能性を組み合わせています。

サイバー五目の対局中に爆弾の設置位置を選んでいる画面
爆弾の設置画面。盤上へ直接石を増やさない一手を、どこへ投資するかが判断になります。

碁石レーダー:行動回数ではなく選択枠を消費する

碁石レーダーは、範囲内にあるステルス碁石や爆弾を発見する防御用アイテムです。使用時にターンを消費しませんが、対戦前に選べるアイテム枠の1つを使います。

相手が隠しアイテムを使わなければ、レーダーを選んだ意味はなくなります。「相手は罠を使うはずだ」という予測が外れることを、レーダーのリスクとして設計しました。

現在の仕様とリスクの対応表

調整を重ねた結果、現在の各アイテムの仕様は次のようになっています(正確な挙動はルール・能力一覧を参照)。

  • ステルス碁石:2回まで使用可。リターンは「見えない攻撃」、リスクは「相手が同じマスへ打つと看破されて消滅し、1手と使用回数を失う」こと。
  • 碁石爆弾:2回まで使用可。起爆時は3×3マスの石が敵味方問わず消滅。リターンは「完成間近の連の破壊」、リスクは「設置に1手使う」「自分の石も巻き込む」こと。
  • 碁石レーダー:2回まで使用可。5×5マスを5ターンのあいだスキャン。リターンは「隠された情報の公開」、リスクは「相手が隠しアイテムを使っていなければ空振りになる」こと。

3つを並べると、攻撃(ステルス)・逆転(爆弾)・対抗(レーダー)という役割分担と、それぞれ違う種類のコストを払っていることが分かります。強さを同じにするのではなく、「役割とコストの種類を変える」ことがバランスの正体です。

数値ではなく、相手の判断が生まれるかを見る

開発初期には、爆弾の範囲が狭すぎたり、レーダーが盤面全体を確認できたりする時期もありました。効果範囲や使用回数を変えるたびに、「使われた相手に別の選択肢が残るか」「次の手を予測する余地があるか」を確認しました。

特に印象的だった失敗は、初期のレーダーです。盤面全体をスキャンできた頃のレーダーは、ステルスへの完全な回答になってしまい、ステルスを選ぶ理由そのものを消していました。範囲を5×5に絞ったことで、「どこをスキャンするか」という新しい判断が生まれ、ステルス側にも「レーダーの届かない場所を選ぶ」という対抗策が残りました。アイテムを弱くしたのに、ゲームは面白くなった調整でした。

現在のバランスも完成形とは考えていません。対戦結果やプレイヤーからの意見を確認しながら、強さを均一にするのではなく、それぞれに異なる使いどころが残るよう調整を続けます。

この記事は、実際にサイバー五目へ実装したルールと調整過程を、開発者自身の経験にもとづいてまとめたものです。

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