ACCESSIBILITY
みんなが遊びやすいゲームにするための工夫
サイバー五目では、言語や色の見え方にかかわらず、初めての人が操作とルールを理解できることを目標にしています。一人で開発している小さなゲームですが、公開時から複数の補助機能を用意しました。
日本語と英語を切り替えられるようにする
五目並べはさまざまな国で遊ばれているため、メニュー、ルール、対局中の案内を日本語と英語で表示できるようにしました。言語が分からなくても設定へ進めるよう、設定画面への導線には共通して認識されやすいアイコンを使っています。
翻訳は一度追加して終わりではありません。新しいモードや説明を追加したときに片方の言語だけが不足しないよう、表示文言を共通の翻訳データで管理しています。
具体的には、画面に表示するすべての文言を1つの翻訳データにまとめ、コード側は「文言のキー」だけを参照する作りにしています。この方式には2つの利点がありました。1つは、新機能の追加時に翻訳データを見れば未翻訳の文言が一目で分かること。もう1つは、後から対応言語を増やす場合も、ゲーム本体のコードへ手を入れずに済むことです。海外プラットフォームのGamePixで配信しているマジシャンズ大富豪が約10言語に対応できたのも、この仕組みを最初に作っていたおかげです。
色だけで碁石を区別しない
通常テーマでは、サイバーな世界観に合わせて水色とピンクの石を使用しています。ただし、色の組み合わせだけでは見分けにくい場合があります。
設定画面の色覚サポートを有効にすると、石を色だけでなく形でも区別できます。シアン側は丸、マゼンタ側は四角というように、「色」と「形」の2つの手がかりで陣営を示す方式です。爆弾などの特殊アイテムも、色を認識できなくても形や記号から種類を判断できるようにしています。
この「1つの情報を2つ以上の手段で伝える」考え方は、デザインの分野で冗長符号化と呼ばれます。色覚特性のあるプレイヤーのためだけでなく、強い日差しの下でスマートフォンを見ている人や、画面の色設定が独特な環境の人にも効きます。特定の誰かのための特別対応ではなく、全員の見やすさの底上げになるのが、この方式を選んだ理由です。
同じ機能には同じアイコンを使う
ステルス碁石、碁石爆弾、碁石レーダーには、それぞれ固有のアイコンがあります。ルール説明、対局前の準備、実際に能力を使うボタンで同じアイコンを使い、画面が変わっても意味が変わらないようにしました。
アイコンだけに依存せず、必要な場所では名称や説明文も併記します。形、色、文章の複数の手がかりから操作を判断できる状態を目指しています。
対局中でもルールを確認できるようにする
最初の説明を一度読んだだけで、3種類の能力と五目並べのルールをすべて覚えるのは困難です。そこで、対局中でも別ページへ移動せず、ルールと能力の説明を表示できるようにしました。
初回プレイヤーには開始前に必要最小限の内容を示し、詳しい仕様は必要なときに参照できるように分けています。説明の量を増やすだけでなく、確認するタイミングを選べることも遊びやすさの一部だと考えています。
個人開発こそ「最初から」やると楽になる
アクセシビリティ対応は後回しにされがちですが、実際に開発してみると、後から足すほうがずっと大変です。文言を翻訳データへ分離するのも、石の描画に形のバリエーションを持たせるのも、完成後に組み込み直すと広範囲の修正になります。
逆に最初から組み込んでおけば、追加コストはわずかです。個人開発は仕様変更の自由が利くぶん、この「最初の設計に混ぜておく」戦略と相性が良いと感じています。遊びやすさの工夫は特別な機能ではなく、タイトル画面やサウンドと同じ、ゲームの標準装備の一部と考えるようになりました。
今後も実際の利用環境から見直す
現在の対応ですべての利用者をカバーできているわけではありません。キーボード操作、読み上げ、文字サイズ、コントラスト、狭い画面での操作など、継続して確認すべき項目があります。
不具合や分かりにくい箇所は、端末とブラウザを添えてお問い合わせ窓口から報告できます。実際の利用状況を確認しながら改善を続けます。